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ステロイド薬とは違う!!プロトピック軟膏(成分名タクロリムス)のメリット・デメリット

プロトピックとステロイド軟膏の違いについてみていきます。

ステロイドの詳しい作用などはこの記事を参考にしてください。

kunipei.hatenablog.com

 

プロトピック軟膏のメリット・デメリット

プロトピック軟膏はステロイドのように免疫を抑制する働きを持ちますが、作用の仕方が異なります。

その違いにより副作用のでかたも変わってくるためステロイドとは大きく区別されています。

 

まずはメリットから見ていきましょう。

一度なると戻らない不可逆性の副作用である皮膚萎縮が起きない。

ステロイドだと起きる可能性がある副作用です。

 

血管拡張作用がないため顔面での難治性の「アトピック・レッドフェース」、つまり「赤ら顔」と言われている潮紅が起きない。

これはステロイドの可逆性の副作用です。

 

緑内障が起きないため、目の周囲にも使いやすい。

ステロイドで起こりうる緑内障という副作用がプロトピックでは起きません。

 顔によく使われるのはこれが理由です。

 

薬の分子量が大きいため炎症が起きている皮膚からは吸収されて、正常な皮膚からは吸収されないという特性がある。

 

プロトピック軟膏0.03%小児用は、上昇した経表皮水分蒸散量(TEWL)を低下させることが認められている。

皮膚からの水分蒸発を抑えてくれるので、結果的にバリア機能が上がります。

 

デメリットは・・・

79.2%にほてり感、ヒリヒリ感、そう痒感などの刺激感が認めらた。

自分も使ったときは頬のほてり感がでましたが、自分は薬が効いている感じがして嫌じゃなかったです(笑

痒み・ヒリヒリ感は厄介ですね。しかし皮膚症状の改善とともに、だいたい1週間程度で落ち着くので大丈夫です。
休薬後、再び使用する時に刺激を感じることがあることがあるのでこの点は注意が必要ですね。

 

この症状を抑えるために保湿剤を先に塗り、あとからプロトピック軟膏を塗るよう指導する先生が多いです。

 

2歳以上からしか使用できない。

年齢制限・塗る量の制限があります。

プロトピック軟膏0.1%の1回あたりの塗布量は5gまでです。

プロトピック軟膏0.03%小児用の1回あたりの最大塗布量の目安は年齢により異なります。

2歳~5歳(20kg未満)は1g  

6歳~12歳(20kg以上50kg未満)は2g~4g

13歳以上(50kg以上)が5gです。

0.1%軟膏も0.03%軟膏も、1日2回までです。

 

アトピーが酷い場合は、強めのステロイドを使う選択肢しかない。

大人用プロトピック0.1%の効き目はステロイド外用剤のⅢ群(ストロング)

0.03%小児用はⅣ群(マイルド)に相当する。

プロトピックには2種類しかランクがないです。

 

紫外線により発がん時期が早まる可能性がある。

マウスに40週間にわたり紫外線を照射し、その後12週間無処置期間を設けて観察すると試験動物のすべてに皮膚腫瘍が発生するが、この試験系において紫外線照射と並行して本剤を塗布すると皮膚腫瘍の発生時期が早まることが示されている。

 

日常的に外出する分には問題ありません。海水浴やスキー場などに行く場合はUVカットクリームを塗るようにしてください。

 

なお、厚生労働省より承認条件として求められたプロトピック軟膏0.03%小児用の製造販売後調査(中間報告)では、皮膚がんを含む悪性腫瘍の発現について最長7年間の観察において、安全性評価対象1231名で発現は認められてないです。

 さらに多くの論文でプロトピックは発がんリスクは上がらず、重度のアトピー性皮膚炎という病気じたいがリスクを上げていたと発表しています。

 

製薬会社側も因果関係が不明だが、発がん患者がいたので添付文書に載せておこうということみたいなので、気にする必要はないですね。

 

ちなみに、プロトピックは2018年7月10日に妊婦にも使用できる薬として通知されました。今までは妊婦に禁忌だったので、少し治療の幅が広がりました。

 

以上がプロトピックのメリット・デメリットです。

薬の使い方をしっかり守ってアトピーをいい状態にもって行きましょう!!