いろいろな保湿剤の使い分け・保湿力の比較
薬・市販の保湿剤にも色々な種類があります。
今回はそれぞれの違い・用途についてみていきます。
目次
薬による作用の違い
●ヘパリン類似物質含有製剤
吸湿して角層に水分を付与する作用があり、持続的な保湿効果があることが特徴です。
●尿素製剤
ヘパリン類似物質と同様に、吸湿して角層に水分を付与します。角質融解作用があるのでかかとなどのひび割れなどに良く使われます。また、角質融解作用により皮膚バリア機能が低下した皮膚では刺激を感じることがあります。
●ワセリン
角層に水分を付与する作用はなく、油分が被膜となって皮膚を覆うことで、皮膚の水分蒸散を防ぎます。被覆性が高いことが特徴ですが、べたつくことがあります。使用感はリップクリームのような感じですね。口角炎による亀裂など、皮膚がよく動くところの保護にも使われます。
皮膚のバリア機能比較
皮膚は体表面を覆う人体最大の器官であり、体内からの水分蒸散や、体外からの異物の侵入を防ぐバリア機能を担っています。
脂腺・汗腺から分泌される皮脂や汗、そして皮膚常在菌による代謝物などが皮膚表面を弱酸性に保ち、病原菌の感染等を防いでいます。
ではまず皮膚のバリア機能を見ていきましょう。
下のグラフはそれぞれの保湿剤を乾燥肌のモルモットに塗った時の肌からの水分の蒸発量を調べたものです。
※縦軸=経表皮水分蒸散量(Transepidermal water loss:TEWL)
皮膚から蒸散する水分量であり皮膚バリア機能の指標である。TEWLが高いほど、皮膚バリア機能が低下していると考えられる。
ヒルドイドソフト軟膏は塗った直後から肌からの水分の蒸発を抑え、正常な皮膚の状態ちかくまで改善させています。
尿素製剤は角質融解作用により肌からの水分の蒸発量を増やしてしまっていますね。
ワセリンは水分の蒸発は防ぎますが、その効果はヒルドイド軟膏の方が上です。
肌の水分量比較
角層水分含量とは、皮膚の最も外側にあり10~20μmほどの厚さを持つ角層に含まれる水分量のことで、健康な角層には約20~30%程度の水分が含まれます。
角層水分含量は、角層の柔軟性やキメなどに大きな影響を与えることから、保湿剤などによる保湿ケアが重要です。
次のグラフはそれぞれの薬を乾燥肌のモルモットに塗った時の水分保持力を見ています。
ヒルドイド軟膏は塗布後2日後から正常皮膚の角質水分量をはるかに上回る数値を示しています。
白色ワセリン・尿素製剤は正常皮膚よりも水分保持力が低くなることがわかります。
まとめると
ヒルドイドはやはり保湿力に特化した薬
尿素製剤は肌の軟化
ワセリンは肌の保護がメインの作用ですね。
市販の化粧品にも尿素やワセリンなどを含んだものが数多くあります。
成分の効果をしっかり理解した上で購入・使用するようにしてくださいね。
引用元:
https://www.maruho.co.jp/medical/hirudoid/moisturizer/
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