アトピーにDHA・EPAは有効なのか?
今回はDHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)がどのような効果を持ち、アトピーには有効なのか?量はどれくらいがいいのか?などをみていこうと思います。
目次
DHA・EPAとはなんなのか
DHAは、ドコサヘキサエン酸の略で、ヒトの体を構成するさまざまな細胞の膜に含まれる重要な成分です。DHAは体内で作ることができない栄養素である必須脂肪酸なので、食物から継続的に摂取する必要があります。
EPAは、エイコサペンタエン酸の略で、中性脂肪の低下や、血小板凝集の抑制に効果があるとして注目されています。EPAも体内で合成されない必須脂肪酸の一つです。
ちなみにこれらの成分は薬にも応用されており、DHA・EPA製剤の「ロトリガ」
EPA製剤の「エパデール」として売られています。
どちらも高脂血症を改善する薬ですね。
DHA・EPAがアトピーに有効という論文
1つ目の研究
マルハニチロと東北大医学部などと共同研究を行い、アトピー性皮膚炎として皮膚に「かゆみ」があってアレルギー体質などの条件を満たす26人(男19人、女7人、2~39歳)に、一日につき400~900mgのDHAを14週間内服させました。
その結果、「かゆみ」「しっしん」「あかみ」などの症状が緩和される
ということがわかりました。
2つ目の研究
実は皮膚に塗布するタイプの塗り薬でこのEPAとDHAを利用した薬があります。
DHA・EPA含有軟膏の開発者、香川県立津田病院小児科部長である渡辺俊之先生が2002年に市販薬を持って調査した結果その有効性が認められています。
内外薬品株式会社が、2002年11月に医薬品として製造承認を受けた非ステロイド性外用剤「ダイアフラジン軟膏」を一般薬局から発売していますが、これは非ステロイド剤なので安心して使用することができます。
「ダイアフラジン軟膏」に含有しているDHA・EPAは、アトピー性皮膚炎の発症および悪化に関与する化学伝達物質の一つ、ロイコトリエンB4の産生を抑制する事が明らかにされているので、実際に「ダイアフラジン軟膏」でアトピー性皮膚炎患者が良くなるか?ということをテーマに渡辺先生が、アトピー性皮膚炎患者27名を対象に臨床試験を行ったそうです。本軟膏を使用し、症状の重症度(注2)の推移を1~8か月間経過観察したところ、著効93%(25名)、有効7%(2名)、無効0%と全例有効以上という結果でした。
なお、副作用は認められず、試験期間中は、原則として、本製品のみを使用し、他の外用剤および内服薬は使用していないとのことです。
3つ目の研究
DHA・EPAは1日どれくらい摂取したらいいのか?
DHA・EPAがアトピーに有効な事がわかりましたが、やたらめったら摂取すればいいってものではありません。
過ぎたるは及ばざるが如しです。
欧州食品安全機関(EFSA)では1日5g、アメリカでは3gの摂取において、特に問題ないとされています。
日本ではDHA、EPAの目安量はありませんが、厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、n-3系脂肪酸の目安量を設定しています。
目安量は欠乏症を予防する観点から設定されておりますが、α-リノレン酸とEPAやDHAといった他のn-3系脂肪酸とを生体内で機能を区別するのが難しいことから、n-3系脂肪酸の摂取量として基準が設定されています。
1日の摂取目安量として、n-3系脂肪酸は成人男性の場合2.0g~2.4g、成人女性で1.6g~2.0gの摂取が推奨されています。
DHAやEPAは、必要な栄養素であるため、一度に大量に摂取するよりも、毎日こまめに目標量を摂取することをお勧めします。
引用:
https://www.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha10500.html
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