薬剤師のアトピーブログ

薬剤師くにぺいのアトピー情報局

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あるアトピー記事に寄せられた読者のコメント300件をすべて読んで思った事。

くにぺいが読んだ記事はこちら

いまだ続くステロイドへの誤解 「アトピー性皮膚炎」の治療とは?〈週刊朝日〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース

です。

この記事には読者から、およそ300件以上のコメントが寄せられてます。

興味深い意見ばかりだったので、読破しちゃいました。

 

自分的に刺さったコメントをピックアップしてみましたのでご覧ください。

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目次

 

ステロイドを塗るのは仕方なくなんです』

ステロイドは様々な症状を強力に抑えてくれますが、根本的な治療ではなく、それで病気の原因が治るわけではありません。
ステロイドを使う時は安全安心の標準薬だから使うわけではなく、仕方なく使わなければならないというだけです。

理解し受け入れなければならないことは、ステロイドが怖くないということではなく、「仕方ない」ということです。

そうなんですよね。仕方なくという言葉が一番しっくりくる感じがします。

ステロイドは症状を一時的~長期的に改善させて患者の『生活の質』を上げる事を目的としています。

 

例を挙げると

0歳でアトピーを発症して10歳で治る患者がいるとします。

この患者はステロイドの使用の有無に関わらず10歳で治るでしょう。

しかし、ステロイドを使用しなければ痒みは止まらず肌は炎症を起こし『生活の質』はガクッと下がります。

さらにアレルギーマーチにより気管支喘息アレルギー性鼻炎を起こすリスクが上がります。

 

では、10歳までステロイドを使用するとどうでしょう。

アトピーは良くなり、痒みもよくなるでしょう。ただし、そこにはステロイドの長期使用による副作用に対する不安が付いて回ります。

皮膚の感染症に罹り易くなる・皮膚の萎縮などなど…

 

つまり究極的に言えば

『生活の質』『アレルギーマーチのリスク低減』 と 『ステロイドによる副作用』

を天秤にかけ、どちらをとるかの選択をしなければいけません。

 

では次

ステロイドが効かなくなってきた』

アトピーでもうまくコントロールできる人もいる
でも、理想的とされる薬の使い方をしても、コントロールできないケースも多々ある。
メリハリをつけて薬を使っても、結局弱いものでは抑えられなくなり、ストロングでも抑えられなくなったりするんです。

 

子どもがアトピーで、0歳から標準治療を続けましたが4年生の時に一番強いのも効かなくなって、皮膚が溶けたようになりました。医師も困惑したようで、脱ステロイドの病院をそれとなく紹介され、脱ステロイド治療をしました。食事も制約が多く大変でした。大人になってからの再発が怖いですが、今のところアトピーは気にならなくなりました。

 

ステロイドずっと成人するまでお医者さんに出されて使っていました。どんどん酷くなり、治らず、、、せっかく産まれてきたんだ、そして半袖を着てみたい、、、思い切ってステロイド使用をやめました。薬を抜いている間は痒くて寝れなくて本当に辛かったし落ち込みましたが、身体も鍛えて、2年弱位で見た目も良くなり、その後完全に治りました。
でも状況によっては、薬を辞めてみたくても、出来ない人もいる。
実際に使っていて苦しんだ経験がある私としては、ステロイドは対処療法、そして、塗布した所は良くなっても、抑えている分他の場所に出て広がる、それが繰り返しになり、そのうち効かなくなって強い濃度に上がっていく。ステロイドでは治らない。悩んでる方がいらっしゃると気持ちがわかるだけ、いたたまれない。治るように心からお祈りします。

 

 上記のコメント以外にも多く見られたのが、『ステロイドが効かなくなってくる

という記述です。

アトピーによる炎症が悪化して、使っているステロイドの強さでは効かなくなってくるのではなく

ステロイドを続けることにより効果が減弱するというものです。

 

このステロイドの作用減弱についてはアトピー性皮膚炎ガイドライン2018年度版にも記述されてます。

内服ステロイド薬で報告されているようなステロイド低反応性,または急速な効果の減弱(タキフィラキシー)の病態がステロイド外用薬でも生じるかは懸案となってきた.

米国皮膚科学会のアトピー性皮膚炎ガイドラインには,専門家によりステロイド外用薬にタキフィラキシーの生じ得る可能性が指摘されているものの,その根拠となる研究や論文はないと記載されている.

 

実際,アトピー性皮膚炎におけるタキフィラキシーの存在は明らかではないが,ステロイドの血管収縮作用を観察した動物実験の報告がある.ステロイド外用薬の連日局所塗布がヒスタミンあるいは刺激性皮膚炎で見られる血管拡張に及ぼす影響を検討していた.

 

その結果,ステロイド外用薬による血管収縮作用は減弱をみとめ,ヒスタミン処理群ではステロイド使用 14日目に,刺激性皮膚炎群ではより早期に効果の減弱を認めておりタキフィラキシーの存在を完全に否定できるものでもない。

日本皮膚科学会においても作用減弱が示唆されていますね。

くにぺい自身もステロイドを使用していた時、作用の減弱を感じました。

だんだんと効かなくなっていき、結果的に塗る量が増えていたのを覚えています。

 

これだけ多くの人がそう感じているのだから、やはりそうなのだろうと思います。

 

ステロイドによる経過は人それぞれ』

 ステロイドの副作用が大きく取り上げられるようになったり、脱ステロイドが流行った頃にアトピーっ子だった私。まんまと脱ステロイド療法で悪化し、これはステロイドの副作用のせいと言われてそれを鵜呑みにして辛かった。
アトピーにはステロイドが1番です。間違いない。
結局体力的にも精神的にも疲れた時に出会った先生が全くここに書いてることと同じ治療をすすめていて、その通りにしたら今までのはなんだったんだってくらい一瞬でよくなった。今もアトピーって言ったら驚かれるくらい。
子どもも生まれてすぐアトピーと診断されたけれど、とにかくたっぷりのステロイドをしっかり塗るようにしてたら綺麗な赤ちゃんらしいタマゴ肌になった。生後半年の今は週一だけのステロイドでいい状態を保ててる。
薬嫌いな人はたくさんいるから、ステロイドを使わないのは勝手だけど、医師でもないのにそれを他人に進めないで欲しい。

 これはステロイドの使用によって良くなった人のコメント。

 

アトピーって外傷ではなく体内から出てくるのもなのに、ステロイドで表面を整えるだけってのは意味ないと思います。食事などの内面指導もしないと。
ちなみに、私はステロイドを処方されて塗っていましたが効くどころか、どんどん範囲が広がり収集がつかなくなり脱ステしました。
最後に皮膚科を受診してから10年以上経ちますが、保湿剤などもいらない肌になりました。


散々搔きむしりましたが、誰からもアトピー だとは気付かれないくらいに綺麗になってます。

これはステロイド否定派のコメントですね。

 

ステロイド使用後の治療経過によってコメントがガラリと変わってしまいます。

これがアトピー治療を混乱させている原因ですね。

 

アトピーと診断されてから大多数の人がステロイドを処方され、使い始めると思います。

そこから

大きく2パターンへ分かれます。

 

ステロイドのランクを徐々に下げることができ、コントロールできる

 

ステロイドを使うが、作用減弱により使用量・ステロイドのランクが上がり、最終的に副作用がでてしまい中止する。

 

そして②になった場合、俗にいうリバウンドとよばれる症状がでる可能性があります。

これは皮膚科学会にも記述されている現象です。

主として成人が顔面や陰部などにステロイド外用薬を長期間使用した例で,ステロイド外用薬を突然中止すると,紅斑や潮紅,浮腫,丘疹や膿疱などが 出現,悪化することがある
このような状況が疑われる場合は,皮膚科専門医に紹介することが望ましい.

なので②の状態になりそうなときには、副作用がでるまえに徐々に使用量をへらし脱ステロイドへ持っていくのがいいと個人的には思います。

そして①の状態にもっていくためにも、保湿・食生活の改善は欠かせない事だと思います。


すこしでもアトピー患者さんのためになれば幸いです。

くにぺいでした。

 

引用: 

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopic_GL2018.pdf