アトピーの新薬「デュピクセント」価格や効果・副作用って実際どうなの!?
薬剤師+アトピー患者のくにぺいです。
今回は2018年の4月に発売されたアトピー性皮膚炎の新薬「デュピクセント」について書いていこうと思います。
目次
デュピクセントの効果とは
デュピクセントは主に皮膚のバリア機能を下げる物質と痒み・炎症を引き起こす物質のIL-4とIL-13を抑える薬です。これはいままでになかった薬なのでアトピー治療の革命児として期待されてます。
※難治性のアトピーの症状の改善を目指す薬で、アトピーを完治させる薬ではありません。
注意点として
●ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤等の抗炎症外用剤による適切な治療を一定期間施行しても、十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者に用いること。
●原則として、本剤投与時にはアトピー性皮膚炎の病変部位の状態に応じて抗炎症外用剤を併用すること。
●投与時も保湿外用剤を継続使用すること。
●IL-13・IL-4が寄生虫感染に対する防御機能に関与している可能性がある。寄生虫感染患者に対しては、デュピクセントを投与する前に寄生虫感染の治療を行うこと。
の4つがあります。
さらに現状、使える人が限られます。
使用できる条件は以下の①または②に該当している人 + ア・イ・ウのすべてに該当している人です。
①ストロング以上のステロイドを使用しても改善されない炎症がひどい人(一定期間とは半年以上の標準治療後です。)
または
②副作用によりステロイド薬の使用が困難な人
+
ア)IGAスコア3以上
イ)EASIスコア16以上又は顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹を有する
ウ)体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合10%以上
手のひら1枚分を体表面積1%と考えます。
実際に使っている人の感想
●症状は改善してきて、ステロイドのランクも減らせてきている。
●手の痒みがおさまって、掻く回数も減ってきている。
●肌の赤みや乾燥が減ってきて、肌もしっとりしてきた。動くのが楽です。
●3回目でかなり肌の赤みが引いてきてます。
●出血やジュクジュクした部分がなくなってきてます。
●高すぎて、この治療がいつまで続けれるか・・・
●3回目〜4回目で結膜炎がひどくなってきた。
●注射された時、いっきに入れられて痛かった
と効果の満足度は高いみたいです。不満は金銭面と、結膜炎がおきやすい、注射時に痛みがあるという点に対してでした。
デュピクセントの価格
デュピクセント300mgは注射薬で 2 週に1 本(初回は2本)です。
1本あたり81,640円 3割負担の人で1本 24,492円です。
かなり高い薬になります。
医療費控除・高額療養費制度・付加給付・大学や住んでいる自治体による医療費助成制度などでより安くできる場合があるのでしっかり調べましょう!!
投与する期間は?
ステロイド外用薬やカルシニューリン阻害外用薬(プロトピックなど)との併用によりある程度の期間(6ヵ月を目安とする。)寛解の維持が得られた場合には、これら抗炎症外用薬や外用保湿薬が適切に使用されていることを確認した上で、本剤投与の一時中止等を検討すること。
また投与開始から16週後までに治療反応が得られない場合は、本剤の投与を中止すること。
とされています。
副作用ってなにがある?
投与された403例(日本人62例を含む)において、副作用は123例(30.5%)に発現し、主な副作用は、注射部位反応29例(7.2%)、頭痛12例(3.0%)、アレルギー性結膜炎 7 例(1.7%)であった。
2018年の7月末までに報告された重篤な副作用は
初回投与後のアナフィラキシーショックによる呼吸困難が2件
投与開始 35 日後頃からアトピー性皮膚炎とは異なる紅斑が全身に出現したのが1件ありました。
いずれの重篤な副作用も適切な処置により回復してます。
実際に自己注射する際の注意点
●遮光のため、外箱に入れて冷所で保存すること。
●投与前に45分以上かけて室温に戻しておくこと。
●直射日光に晒さないこと。また、振とうしないこと。
●正常な皮膚の部位に注射すること。皮膚が敏感な部位、皮膚に損傷、打撲や傷のある部位、アトピー性皮膚炎の強い炎症を伴う部位には注射しないこと。
デュピクセントは高い薬ではありますが、その分効果も高めのようですね。
この薬でアトピー患者の生活の質が上がることを願っています。
くにぺいでした。
関連記事
外用ステロイド薬の副作用・効果・治療方法などを詳しく解説!!
こんにちは。アトピー患者+薬剤師のくにぺいです。
このページではステロイド薬について包み隠さず深く掘り下げていこうと思います。
マスコミによってステロイド薬は怖いというイメージが植え付けられました。
怖いが故に指示された量より少なめにしようとか、治ってきたから自分の判断で止めてみようということに繋がり、適切な治療ができず重症化するケースをよく見ます。
これを防ぐためにステロイド薬とはなにかしっかり理解する事が大切になってきます。
では実際ステロイド薬ってどう体に効いているのか見ていきましょう。
< 目次 >
ステロイド薬は体にどう効いているのか
ステロイドとは、副腎(両方の腎臓の上端にあります)から作られる副腎皮質ホルモンの1つです。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われています。
つまりステロイドとはもともと体で作られているモノなんです!!
それを模して合成して作ったのがステロイド薬なわけです。
ではステロイドがどのような働きをしているかというと
主な作用としては・・・
①抗炎症作用
からだの一部が熱を持ち,赤くはれたり痛んだりすることを抑える働き
②免疫抑制作用
体で起きている異物に対する異常な防御反応を抑える働き
③細胞増殖抑制作用
④血管収縮作用
などがあります。
ほかにも
⑤糖分の代謝
⑥タンパク質の代謝
⑦脂質の代謝
⑧骨の代謝
など多くの生体内反応に関与しています。
それはそうですよ。もともと体で作られているものなのでいろんな作用があります。
アトピーの人にとって良い作用・悪い作用も持っています。
ステロイドによっておきる副作用とは
ステロイドによって望んでいない作用が起きることもあります。それが副作用です。
副作用はデルモベート軟膏などステロイドの外用剤とリンデロン錠剤などのステロイドの内服薬によって症状が大きく分かれてきます。
外用剤では主に塗った場所のみへの局所作用が起きます。
症状として次のようなものがあります。
・潮紅・・・これは上記の④の血管収縮作用が連続しておきることにより、逆に血管が拡張しはじめ肌が赤みを帯びてみえることで、顔面でこの症状が見られると、酒に酔っているように見えることから酒さ様皮膚炎と呼ばれます。
・多毛・・・使用部位の発毛が促進することがあります。この症状は小児で多いです。
・ステロイドによるニキビ・毛ほう炎・・・これは上記の②の免疫抑制作用により細菌への抵抗力が下がり起こります。ニキビは小児にはみられず、脂腺が活発になる思春期以降にみられる副作用です。
・感染症の誘発・・・これも上記の②の免疫抑制作用により真菌(水虫などのカビ)・ウイルスの感染をおきやすくする。ただし、十分なスキンケアで皮膚のバリア機能を高めれば感染はおこりにくいです。
・ステロイドによる緑内障・・・目の周囲への強めのステロイドの長期使用で緑内障を引き起こすことがあります。緑内障とは眼の眼圧が上がっていく病気です。眼の周囲に長年ステロイドを塗っている場合は定期的に眼科を受診するようにしてください。
ちなみに白内障になる原因として痒みによる目周辺の殴打があり、ステロイドが直接の原因ではないことがわかっています。
・皮膚萎縮線条・・・これは上記の③の細胞増殖抑制作用によって皮膚が薄くなり、その皮膚に力が加わることによって皮膚萎縮線条がおきます。簡単にいうと妊娠線のことです。
以上が外用剤でおきる副作用です。
ここで重要なのが、
皮膚萎縮線条以外の副作用はステロイドの外用をやめると元に戻る
ということです。(皮膚線条までいかず、ただ皮膚が薄くなっている場合も元にもどります。)
過去、自分も顔へのステロイドの使用で肌が赤みがかるといった症状がでていましたがステロイドなしで肌をコントロールできるようになってからはそういった症状も次第に良くなりました。
つまり外用剤でおこる副作用は万が一おきたとしても、深刻なものではないということです。
さらにステロイド外用薬による副作用はそれほど多いものではなく最も強いデルモベート軟膏・クリームでも、皮膚萎縮〔軟膏1.0%、クリーム0.7%〕、毛細血管拡張〔軟膏0.5%、クリーム0.6%〕と報告されています。これは薬を作っている製薬会社が出しているデータです。
このようにステロイド薬について深く知ると、正しく使えば怖い薬ではないとわかります。
ただしここで注意したいのが、デルモベート軟膏のような強い外用剤を何年も塗り続けるとステロイドの内服薬で出てくるような副作用(骨粗しょう症・糖尿病など)が現れることがあるという事です。
長期の使用にならないために最初にステロイド薬はしっかり使い、いずれ量を減らして脱ステロイドへ持っていくことが重要です。
理想的な治療の経過は
●早めに炎症を抑えるため強めのステロイドを塗る
⇩
●炎症が治まってきたら徐々に弱めのステロイドに切り替える
⇩
●炎症が完全に落ち着いたら
①:週に1~2回弱めのステロイド薬を塗る(プロアクティブ療法)
②:また炎症が出てきたらステロイドを塗る(リアクティブ療法)
の①と②どちらかの方法を取ります。
※どちらかというとプロアクティブ療法が推奨されているようです。
⇩
●最終的にステロイド薬を止めて、保湿剤だけでコントロールしていきます。
筆者はこの方法でほぼ健常人の肌質まで回復しました。
治療中におきた副作用としては、酒さ様症状・ニキビ・毛ほう炎ですが、脱ステロイドをしてからはこの症状も回復してます。
アトピーについてしっかり説明しない医師はざらにいます。
それによりアトピーが悪化し、ステロイドに対して恐怖感をもつ患者も多いです。最初の治療が大切なのです。
受診する病院は周りの口コミなど下調べをして選んでくださいね!!
※この記事は脱ステロイド、脱保湿を否定するものではありません。
治療方針は人それぞれです。自分に合ったものを選択していきましょう。
アトピーであり薬剤師による病気に対する理解・原因と痒みの対処法!!
薬剤師+アトピーのくにぺいです。
アトピーで長年悩まされてきたくにぺいが、アトピーになる原因や痒みに対する対処法を書いていこうと思います。
アトピーになる原因とは?
まずは何故アトピーになるのかしっかり理解しておく必要があります。
アトピー性皮膚炎の原因には、
①「体質的な要因」
=アトピー素因やバリア機能が低下している皮膚状態など
※アトピー素因とは
普通の人にとってはなんでもないダニの死骸・食べ物・化粧品などに体の免疫が過剰に反応してしまう体質を持った人のこと
②「環境的な要因」
=アレルギー症状を起こす物質(アレルゲン)や皮膚への外部刺激など
があります。
「体質的な要因」と「環境的な要因」が重なったときに、皮膚炎の症状があらわれると考えられます。
このような体質を持った人がアレルゲンに晒されると、
異物が入ってきた!!
と体が過剰に反応し免疫細胞を送り込みます。
この免疫細胞は異物を排除しようとする良い作用もあるのですが、人間の体にとってあまりよくない作用もあります。
それは、ここに異物が入ってきてますよと自分に知らせるために痒み物質を出すことです。これが俗にいうヒスタミンやIL-31とよばれる物質です。
このせいでアトピーの方々は痒みという大敵に悩まされるわけです。
分かりやすく簡単にすると・・・
アレルゲンへの暴露
⇩
痒みが出る
⇩
掻き壊し、肌が傷つき乾燥しやすくなる
⇩
外からの刺激を受けやすくなる
というアトピーの負のスパイラルがおこり、抜け出せなくなるということです。
痒みに対する対処法
では、このアトピーの負のスパイラルから抜け出すための対処法を紹介していこうと思います。
①ステロイド薬を使う。
前述したとおり免疫細胞により痒みがおきるので、その免疫作用を抑えるステロイド薬を医師の指示通り適量使うこと。
(ステロイド薬についてはまた別記事で詳しく書こうと思います)
②肌が乾燥しないようにする。
アトピー性皮膚炎の人はバリア機能が弱まり、水分が外へにげてしまい肌が乾燥してしまいます。乾燥している状態だと肌の細胞と細胞の間は開いてしまい、外からの刺激を受けやすくなります。
その状態を防ぐために
- 保湿剤を欠かさずに塗る(自分の場合はヒルドイドローション愛用してます)
- 加湿器で室内を適切な湿度に保つ(だいたい湿度50%~60%が目安とされています)冬はもちろんのこと、夏もクーラーによって湿度はしらずしらずのうちに下がっています。夏でも加湿を心掛けてください。
③掻き壊しをできるだけ防ぐために指の爪をこまめに切る。
自分はいつも深爪してます。
これをするだけで仮に夜中無意識に掻いても軽度ですみます。
④アレルゲン物質をできるだけ排除する。
エアコンのほこり・カビや布団のダニなど掃除を定期的に行い、部屋を清潔な状態にすることで痒みが起きる頻度を大幅に下げることが出来ます。
⑤通気性がよく肌に優しいつなぎの服をパジャマにする。
つなぎの服とは下半身・上半身が繋がっている服です。顔のアトピーの場合は意味ないですが、肘・膝・股などのアトピーだと夜中の無意識の掻き壊しが防げるのでお勧めです。
⑥痒み止めの薬を使用する。
内服薬だと抗ヒスタミン薬がよく医者から出されます。効果を感じる人はしっかり飲むようにしてください。
自分は薬を飲んでも掻いてしまうので、痒み止めの外用剤を使ってます。
⑦高温のお風呂・シャワーはあびない。
高温のシャワーを浴びると肌への刺激になってしまい痒みが出てしまいます。
また血流が促進されすぎて痒みも強くなるので、二重の意味でよくないです。
⑧石鹸は刺激のないものに変えて、ボディタオルも柔らかいものに変える。
自分は炎症気味の部分には手に石鹸を付けてなでるように洗うようにしてます。
以上が自分がやっている対処法ですね。
これはやってなかったな~という事もあったのではないでしょうか。
この記事で対処法を再確認してもらえれば幸いです。
ではまた次の記事でお会いしましょう。くにぺいでした!!
アトピーの痒みには痒み止めの薬ってあまり効かない!?
こんにちは。アトピー患者+薬剤師のくにぺいです。
このページではアトピー治療に関する知識をまとめていこうと思います。
医者にかゆみ止めの
抗ヒスタミン薬
(アレグラ・タリオン・ザイザル・クラリチンなど)
を処方されたことはないでしょうか?
実は自分もその一人です。
この薬を処方してもらった日は
「これで痒みも治まって、夜もぐっすり寝られる!!」
と思ってました。
ところが、薬を飲んだ翌日の朝
「ん・・・?顔がヒリヒリするな。」と思い、
鏡を見ると頬が血だらけになっていたんです( ゚Д゚)ガーン
例のごとく夜中に顔を手で引っ掻いてしまってました。
その後も痒み止めの種類を変えてみたりしましたが、効果は実感できませんでした。
なんでかな~と調べたところ、こういう理由があったんです。
ヒスタミン H1 受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)が著効する蕁麻疹と異なり,アトピー性皮膚炎の瘙痒に対する抗ヒスタミン薬の効果は症例によって異なることから,ヒスタミン以外のメディエーターの存在が想起されている.近年,Th2 細胞が産生するサイトカインの 1 つである IL-31 が瘙痒を誘導することが報告された。
ざっくり要約すると、
①アトピー患者の中でも抗ヒスタミン薬が効く人・効かない人に分かれる。
②効かない人はヒスタミンではなくIL-31という物質が痒みを引き起こしている可能性がある。
(※虫刺されなどの痒みなどには抗ヒスタミン薬は効果あります)
ということです。
このILー31という物質はアトピー性皮膚炎発症と深くかかわっているとされており、アトピー性皮膚炎の痒みを根本から断つための新薬になるのではないかと期待されています。製薬会社さん頑張って!!
じゃあ、現状・・・
痒みはどうやって対処したらいいんだ!!ってなりますよね。
次の記事では、自分が導き出した対処法を紹介しようと思います。
お楽しみに!(くにぺい)